パッケージをアップグレードさせる表面加工 プレスコートと PP加工 を徹底比較!
そもそも紙の表面加工とは
パッケージを手に取った際、あるものは光沢を放ちながらツルツルとした質感を持ち、またあるものはしっとりとしたマットな質感を持つなど、同じ紙素材でありながら多様な表現がなされていることに気づかれた方も多いのではないでしょうか。その秘密は、パッケージの表面に施されている「表面加工」にあります。
表面加工は単に見た目を美しくするだけでなく、パッケージを水や汚れから守ったり、印刷の色移りを防いだり、破れにくく丈夫にしたりと、様々な機能性を高める重要な役割を担っており、加工法にも様々な手法がります。
今回は数ある表面加工の中から需要の多い「プレスコート」と「 PP加工 」の特徴についてご説明します。
プレスコートとPP加工比較その1 加工方法について
パッと見た印象では、プレスコートとPP加工の艶感のある仕上がりは似ていますが、加工方法は大きく異なります。
プレスコート
アクリル系樹脂などを含んだ塗料を紙に塗布し、熱風で乾燥させ、ステンレス板で圧を加える加工法です。
PP加工
耐水性、耐折性のあるポリプロピレン樹脂フィルムを紙にラミネートする加工法です。
プレスコートとPP加工比較その2 仕上がりについて
プレスコート
印刷面に鏡面のような強い光沢感を出すことができます。
PP加工
グロスPPはプレスコートと同じく強い光沢感があります。また、マットPPはしっとりとした見た目や手触りが特長です。

左からプレスコート、グロスPP、マットPPの加工見本
プレスコートとPP加工比較その3 耐久性・保護性能について
プレスコート
耐摩耗性に優れており、軽度の傷や汚れから印刷面を保護する程度の性能を持ちます。
PP加工
プレスコートよりも耐久性が高いのが特長です。耐水性もあるため印刷物を傷や湿気からしっかりと保護することができます。

プレスコートの加工写真しっかりと艶がでます
プレスコートとPP加工比較その3 環境負荷について
プレスコート
紙の表面に溶剤を塗布する加工のため、そのまま古紙として回収・リサイクルが可能です。
PP加工
通常、パッケージ製作過程ででる紙の端切れ等は専門業者によって古紙として回収しリサイクルされますが、PP加工の場合はフィルムを貼り合わせるため、多くが産業廃棄物として処理されます。
プレスコートとPP加工比較その4 注意点について
プレスコート
加工の過程で紙が反ってしまうことがあるため、薄い紙への加工には適していません。印刷色が濃く見える傾向があります。PP加工と違い塗布する溶剤の性質上紙の両面に加工することができません。
PP加工
フィルムと紙の伸縮率の差で反り返ることがあります。プレスコートのように部分的な加工ができません。表面加工を施す前後で印刷が濃く見える傾向があります。そのためPP加工を前提とする場合は事前にサンプルを作成して仕上がりを確認することが大切です。
また、マットPPは表面の凹凸が強く擦れると光の反射が変わり、下地が濃い色ほどキズのように見える場合があります。

PPの加工写真耐久性が大幅にアップします
プレスコートとPP加工比較その6 適した加工の選択について
プレスコート
PP加工よりも安価になることが多いため、コストを抑えつつ高級感やアイキャッチ効果を高めたい商品におすすめです。例えば多数の商品が並ぶホームセンターなどのパッケージに施すことで他製品よりも目立たせることが可能です。
PP加工
耐水性が大きく向上するため、例えばチルド製品の箱などに施せば結露による紙の膨張を緩和します。また前回のコラムでご紹介した窓付きの紙パッケージを制作する際もPP加工をする必要があります。
プレスコートとPP加工比較 まとめ
プレスコートの最大の特長は、ミラーのような強い光沢感を出せる点です。糊付けなどの後加工との相性が良いため、パッケージや箱など組み立てが必要な印刷物に適しています。また専用の版が必要ですが部分的に光沢を出す加工も可能なのでデザインの表現の幅も広がります。PP加工よりもコストを抑えつつ、より環境に配慮したものを選択したい場合におすすめです。
PP加工の最大の特長は、パッケージを傷や水濡れから保護する高い耐久性です。光沢のあるグロスPPは写真やイラストを鮮やかに見せ、艶消しのマットPPは上品でしっとりとした手触りを提供し、高級感を演出します。チルド製品、メニュー、カタログ、書籍のカバーなど、耐水性、長期の使用、外観の美しさを重視する印刷物におすすめします。
ハコスグではお客様が要望されている内容をお伺いし最適な表面加工を選定いたしますので是非ご相談ください。